雪の日

 朝カーテンを開けると、庭は一面の銀世界。今冬初の降雪だ。風はなく寒さを感じない。
長靴を履いて雪見の散歩に出る。6時半、空は灰色だが当たり一面は雪明りで明るい。家々の屋根や植え込みにはふんわりと雪が積もっている。綿帽子をかむった大きなミカンが可愛い。
 道路はすでに溶け出してきていた。この地方は近年降り積もる雪がなかったが、今朝の雪は何年振りか?
いや、毎年、雪は降っているだろうが記憶に残る雪の日は少なかった。

 丈山の茂みも清と冷えた静寂をたたえて夜の明ける時を待っている。今朝はまだ小鳥のさえずりを聞かない。残り柿も冷たく雪に埋もれてしまっている。

 また強く降り舞う雪の朝。何年の昔を思い出させる、雪は思い出の使者である。降るならば今日一日中降っておくれ−そう思う今の私。